2012年9月15日 岩手県大船渡市三陸町越喜来
レポート作成:樋口理・二階堂明弘
私は東京芸術大学美術学部に所属しています、樋口理と申します。
この度、「ウツワノチカラ」レポートを書かせてもらえることをとても光栄に思っています。
まず、私が今回のボランティアをやろうと思ったきっかけですが、それは去年の夏に越喜来を訪れた際に、仮設住宅に住む一人の女性に出会ったことでした。
彼女は私たちボランティアに訪れている仲間をもてなそうと、料理を振る舞ってくれました。
ただ台所にある食器はすべて支給されたものばかりで、彼女自身も「もっと素敵なお皿があればいいのに」とぼやいていました。
確かに仮設住宅に住んでいる方々の身につけているものをよくよく見ると、ご老人の方々が若者向けのブランドのシャツを着ていたり、食器も子供向けのキャラクターが描かれていたり、とても違和感がありました。
震災から一年以上がたち、私たちがするべきことがこくこくと変化していることを思い知らされました。
私にできることは何かないだろうかと悩んでいたところ、最初に思いついたのが、生活の中で一番の身近なものである食器で、お気に入りのものを探してもらおう。
そのために越嬉来で器を無償で提供する企画を開こうと考えました。
そこで私の先輩から以前紹介をしてもらった陶の方に連絡をとってみようと思い立ったのです。
陶ismの方々に直接お会いし、私の思いや、この企画の経緯などを説明したところ、とても快く引き受けていただきました。
その後、私は慣れないことで度々、失敗をしていたのですが、その度、陶ism方々にフォローしてもらい、なんとか一年を経て実現することができました。
「ウツワノチカラ」当日、天候にも恵まれ、空と海にはとても透き通った青が広がっていました。
私たちは早朝に現地入りし会場設営をやっているところに待望の器が届きました。
会場に一つ一つ、器を並べていくと本当に多くの方々の想いが詰まっているのがとてもわかり、嬉しくて胸が熱くなりました。
さて、正午が過ぎ、会場はちらほらお客様が来たと思ったら、あっという間に多くの方でいっぱいになっていました。
中には丘の高台にある仮設住宅からわざわざ徒歩できてくれたご老人もいました。
皆さん終始一生懸命、器とにらめっこしてようやく決心ついて笑顔で持ち帰っていく姿を見て、本当に喜びと達成感でいっぱいでした。
この度、器を無償提供してくださいました皆様、お忙しい中ご協力していただきました二階堂さん、今井さん、そして陶ismと私たちとの橋渡しをしてくれた宮澤君、本当にご協力ありがとうございました。
越喜来での初めての「ウツワノチカラ」は大成功に終わりました。
東京芸術大学美術学部工芸科
樋口理
芸大生の樋口さん達。越嬉来で「潮目」という復興のシンボルを作った片山さん。
連絡や人と人を繋いでくれた陶ismの宮澤くん。
そして器を提供してくれた作家の皆様。
資金を提供してくれた方々。
沢山の方々の行動と気持ちが、いい形でつながってきていると思います。
今後も続けていきたいと強く感じた「ウツワノチカラ 越嬉来」となりました。
皆様のご協力に感謝いたします
今後共ご協力よろしくお願いします
陶ism代表
二階堂明弘
運搬・現地での活動
二階堂明弘 今井梨絵 宮澤有斗 樋口理
今回、器を提供してくださった作家の皆様(順不同)
河村澄香 深見文紀 川崎萌 安江かえで 小川佳子 中島完 栗谷昌克 山本順子 野田里美